雨森潤奈は湿度が高い
新作文庫部門第5位
ノミネート作品
『雨森潤奈は湿度が高い』は、学園を舞台に距離感を軸に描く青春ラブコメ小説。 物語は展開よりも、関係の近さが生む空気を読み続ける構造に重心がある。 読み進めるほど、言葉にしきれない密度だけが静かに積み重なっていく。
✏️ 作品概要(あらすじ)
隙あらば密着。一見クール、本当は愛情だだ漏れなヒロインがしっとり登場。 雨で部活の練習が早めに終わった栗本詩暮は、忘れ物を取りに戻った視聴覚室で、一人の女子生徒・雨森潤奈と出会う。読書や音楽の好みが合致した二人は、互いの時間が重なる雨の日の放課後限定で会うようになり、密かな交流を始める。 「詩暮っていう名前、好き」 「私は独りが好きで、無駄な他人と関わりたくはないけど……詩暮なら、いい」 じめっとした雨の日にだけ会える潤奈は無表情でドライだが、やたらと距離感が近く、甘えたがりな女の子。 さらにある晴れた日、潤奈の「秘密」を知ってしまったことで、詩暮に対する潤奈の距離は吐息がかかるほどにまで近づき、深すぎる愛情がだだ漏れになっていく――。
📖 読後に残ったもの
これは「かわいい」より先に、「近い」が刺さる作品だった。 近さはサービスじゃなくて、呼吸の距離まで踏み込む“習性”として置かれている。 甘え、冗談、執着が混ざって、糖度ではなく湿度としてまとわりつく。
雨の日だけ会える、という縛りが関係を最初から特別にしてしまうのも厄介だ。 会える条件が少ないほど、会えた一回の密度が増していく。 そこに音楽——鬱ロックと創作の線が絡んで、重さが属性じゃなく理由に変わる。 満たされるほど壊れていきそうな感情だけが、最後まで手触りとして残る。
✨ 筆者がプッシュする魅力3選
1. 距離感バグ女。息が当たる=デフォルトのヒロイン圧
雨森潤奈というヒロイン、まず距離感がおかしい。 無表情で淡々としているのに、物理的距離が常におかしい。気づくと近い。逃げ場がない。 しかもそれがエロさの一本槍ではなく、甘え・冗談・執着が混ざった“湿気の塊”として迫ってくる。 糖度じゃない。湿度だ。ベタつくのに、乾かない。
2. 雨×密室×放課後のシチュエーションが湿度を盛り続ける
雨の日の放課後、視聴覚室。 この時点で空気が完成している。 会えるのは雨の日だけ、という縛りが、関係性を最初から「特別」にしてしまう。 逃げられない空間、外で鳴り続ける雨音、静かな会話。 この“しっとり空間”が続くことで、関係が自然に濃くなっていく構造になっている。
3.【鬱ロックと創作】満たされることで壊れる感情の話
本作はただの距離感バグラブコメで終わらない。 音楽、特に鬱ロックというジャンルを通して、「創作」と「感情」が絡み合ってくる。 満たされると作れなくなる。 好きな人がいるからこそ、音が歪む。 この要素が入ることで、潤奈の重さが“属性”ではなく“理由のある重さ”として立ち上がってくる。
✅こんな人にオススメ
- 距離感が近いヒロインに、じっとり振り回されたい
- 雨の空気や湿度みたいな雰囲気を味わう青春ラブコメが読みたい
- 音楽(鬱ロック)や創作の葛藤が絡む恋愛ものに惹かれる
⚠️この作品が合わないかもしれない人
- 雰囲気より、出来事の分かりやすさを求める人。
\まずは冒頭を試し読み/
