あそびのかんけい
総合部門・文庫部門・新作文庫部門第1位
文庫部門 第4位
『あそびのかんけい』は、 「このライトノベルがすごい!2026」総合部門・文庫部門・新作文庫部門第1位の三冠を獲得した作品だ。 だが本作の印象は、受賞作らしい“完成度の高さ”よりも先に、 読んでいる途中でじわじわと関係性が崩れていく感触として残る。
物語はボードゲームカフェを起点に、恋と嘘と秘密が噛み合っていくラブコメである。陰キャ×ギャルの軽快な掛け合いとして読める一方で、点と点が結びついた瞬間に“ミステリーみたいな気持ちよさ”が残るタイプだ。章編成はトリッキーで、時系列を揺らしながら情報の開示順を操作してくるのに、読み味は不思議と整理されている。読み終えたあとに、最初へ戻りたくなる構造も含めて、全編プロローグの手触りが強い。 ただし、序盤のノリやキャラクター説明の密度、時系列シャッフルの読み方が合わない人もいるし、あとがきの長さが余韻を切ると感じることもある。
✏️ 作品概要(あらすじ)
誰もが秘密を抱え、あそびのかんけいを続けるラブコメ、スタート! 高校を中退し、ボードゲームカフェ『クルマザ』で店長代理として働く生粋のボドゲオタク常盤孤太郎は、恋をしていた。 ボドゲ愛の欠片もない天敵のような女子高生ギャルバイト小鳥遊みふるに。想いに気付かない当人から進展を煽られるも―― 「まずはサイコロを振らなきゃ、恋は始まらないぜ」 告白はありえない。なぜなら……みふるには超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだから! さらに孤太郎が想いを隠すため、みふるに伝えた嘘の好きな人――女流棋士の歌方月乃は、正体を隠して『クルマザ』に入り浸っている常連客で!? 誰もが秘密を抱え、あそびのかんけいを続けるラブコメ開幕。
✨ 筆者がプッシュする魅力3選
1. 関係性の“組み替え”と情報開示の快感
登場人物は少人数なのに、矢印があっちこっちへ伸びて状況がこじれていく。 しかも、秘密がほどける順番が気持ちよく設計されていて、点と点が結び付いた瞬間にスッと視界が開ける。 読了後に序盤へ戻ると、同じ場面の見え方が変わるタイプの構造である。
2. 会話劇のテンポと“シットコム”の空気
セリフの掛け合いが小気味よく、読みやすさが強い。 誤解と、悪意のない嘘と、思惑が絡まっていくのに、場面は過度にごちゃつかない。 ラブコメとしての軽さを保ったまま、状況コメディ的な面白さで走り切る。
3. ボードゲームは“主役”ではなく、ちょうどいい器
舞台はボードゲームカフェ『クルマザ』だが、ボドゲは「知ってる人だけの内輪」になり切らない。 遊びの場が、関係性の駆け引きや距離感の変化を映す器として機能していく。 ボドゲに詳しくなくても、空気とワクワクは想像できるように置かれている。
✅こんな人にオススメ
- 恋愛の“すれ違い”が複雑に絡むラブコメが読みたい人
- 構成や情報開示で気持ちよく転がされたい人(読み返しも含めて楽しみたい人)
- ボドゲカフェの空気感と、少人数の濃い人間関係が好きな人