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きみからうまれる 感想|初恋の再会に見せかけて、甘さと不穏が共存する“依存×反転”の物語

きみからうまれる

「きみからうまれる」は、幼い頃に別れた“名前も知らない初恋”が高校で目の前に現れるところから始まる話。

再会した鈴代憬は「理想を叶えてあげる」と甘やかし続け、会えなかった過去を“新しい現在”で埋めていく。 ただ、その時間は見当違いに倒錯していき、憬は秘密を抱えている。

ラブコメの顔をしつつ、不穏さ/怖さ/ミステリー寄りの手触りが混ざる、語るほどネタバレなタイプ。 「甘さ」と一緒に「違和感」も拾いながら読むことになる。

✏️ 作品概要(あらすじ)

過去も、現在も、未来も、全てきみのもの。
「誰よりも会いたかったです、みきとくん」

幼い頃にお別れした名前も知らない初恋の少女が、高校生になった僕の目の前に現れた。彼女――鈴代憬と再会し、会えなかった過去を、新しい現在で埋めていく二人。

「わたしが全部、みきとくんの理想を叶えてあげる」
繰り返される憬との“見当違い”な倒錯の時間は、みきとの失った初恋と欲求を満たしていく。
でも、憬はある秘密を抱えていた。
すっかり甘い時間の深みにはまった頃、それを知ったみきとが進む未来は――。

過去も、現在も、未来も、きみの理想で塗り替える初恋リメイクストーリー。

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📖 読後に残ったもの

主人公は、家で母と兄を抱えて回し続けてるヤングケアラーで、学校では委員長として“ちゃんとしてる自分”を演じてる。 そこに、幼い頃の初恋の少女の面影を残す鈴代憬が転校してきて、「理想を叶えてあげる」と言う。

まず甘い。まず救いっぽい。 でもその甘さが、ずっと“見当違い”の倒錯として積み上がっていくのがポイントで、空気がじわじわ湿る。 途中で秘密が見えてきて、作品の雰囲気がガラッと変わる。

癒しの顔をしたまま、サスペンス側に寄ってくる感じ。 そしてラストは強い引きで終わる。スッキリじゃなく、続き待ちの余韻がじっとりと残る。

✨ 筆者がプッシュする魅力3選

1. 甘やかしの“癒し”と、不穏さの“湿度”が同時に積もる

再会から始まる甘い時間がある一方で、背徳感や不穏さがずっと漂う。 甘さと怖さが並走して、雲行きが怪しくなる方向へ沈んでいく。 

2. 主人公の限界(ヤングケアラー/全肯定依存)が土台にある

学校ではリーダー役を演じ、家では母と兄を抱えて家事を担う、という状況が明示されている。 ASMRや「全肯定」に寄りかかって心を保つ、という設定が物語の重心として語られている。

3. 見え方が変わる構成と、強いラストの引き

途中から真相開示で雰囲気が変わり、作品の姿が反転する、という言及がある。 どんでん返し/叙述トリック的であり、終盤は続刊を強く匂わせる終わり方だ。

✅こんな人にオススメ

  • 甘さと不穏が混ざる空気に浸りたい人
  • 読んでる間ずっと心がざわつく話が欲しい人
  • 最後に強い引きが残る物語が好きな人

⚠️この作品が合わないかもしれない人

  • 1冊でスッキリ完結する読み切り感を求める人は合わない可能性がある

\まずは冒頭を試し読み/

きみからうまれる
詠井 晴佳 / びねつ
小学館
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