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この中にひとり、推しがいる 感想|修学旅行の“余りもの班”で推し探しをする、青春ドラマ

この中にひとり、推しがいる

本作は修学旅行×推し活×正体隠匿を組み合わせた、学園青春ドラマである。
舞台は「余りもの班」で、陽キャ主人公が癖の強い4人のヒロインと交流を重ねていく。
推しVTuber「白羽エルナ」の“中の人”が班にいる、という仕掛けが物語を転がす。
重心は謎解きよりも、会話・秘密の共有・距離感の変化が積み上がる過程に置かれている。
鎌倉~箱根~伊豆の旅程がロードムービー感を作り、1巻で読後感よくまとまっている。

✏️ 作品概要(あらすじ)

長月達平、田口一、激賞! あまりものの中に、俺の“推し”がいる!? カクヨムコンテスト10 プロ作家部門 特別賞&コミカライズ賞受賞 浅倉暁人は、推し活と学園生活を満喫する陽キャの高校生。 クラスでも人気者だった暁人だが、修学旅行の班決めを風邪で欠席したことから、各クラスのあまりものを寄せ集めた問題児ばかりの班のリーダーを押しつけられてしまう。 ひねくれ者の陰キャ、口の悪いヤンキー、無口なゴスロリ。 唯一協力的な長身娘は、「仲良くなりたくはない」と宣う。 強烈な顔合わせの後、教室に残された落とし物を見て、暁人はある事実に気づく。 この落とし物は彼の推しVTuber「白羽エルナ」の私物であると! 「つまり、あの変人4人の中に、俺の推しがいる!?」 青春の光と影を詰め込んだミステリー×ラブコメ×修学旅行ドラマ、開幕!

📖 読後に残ったもの

この作品で一番デカいのは、“推しが誰か”の正解じゃない。
推し探しという名の導線で、主人公が4人それぞれと密に関わらざるを得なくなる――その強制イベントが、修学旅行という非日常でブーストされて、班の歯車がガチッと噛み合っていく。
「余りもの班」って言葉だけで胃がキュッとなるのに、そこに放り込まれたのが陽キャの浅倉暁人なのがズルい。調整力が高く、手を差し伸べる言動が“押しつけ”になりにくいから、癖の強い4人の尖りを折らずに、空気だけを前に進めていく。

そしてヒロイン4人が、全員ちゃんと“動かす力”を持ってるのが強い。
仲良くなりたくない宣言をする長身娘、呪詛みたいに陽キャをディスる陰キャ、解読不能な東北弁を撃ってくるゴスロリ、態度はヤンキーなのに妙に筋が通る女子。
「誰が推しVTuber白羽エルナなのか」はミステリーの顔をしてるけど、実際は会話と交流を回すためのスパイス寄りで、読書体験の主役は“クセのある人間同士が、同じ時間を過ごしていくと何が起きるか”の方にある。

修学旅行という舞台も、ただの背景じゃなくて、移動と観光のロードムービー感で物語の空気を作る。
鎌倉~箱根~伊豆、静岡方面へ向かう行程が、場面の浮かびやすさと旅気分を生んで、班の関係性が変わる瞬間の手触りを拾いやすくする。
読後に残るのは、推し探しの結果そのものより、班の空気が温かくなっていく過程と、1巻で綺麗にまとまる“爽やかさ”の方だった。

▶ 冒頭を試し読みする(BOOK☆WALKER)

✨ 筆者がプッシュする魅力3選

1. 推し探しが“会話の起爆剤”として機能する

正体隠匿の要素が、探偵ごっこではなく、4人に近づく理由として働き続ける。
問いかけがコントのネタ振りみたいに転がり、掛け合いが軽快に回る。
その軽さのまま、秘密共有や距離の縮みが段階的に積み重なっていく。


2. “余りもの班”の4人が、全員ストーリーを動かす

癖の強さがただの属性で終わらず、発言や態度が場を掻き回す燃料になる。
それぞれのギャップや隠し事が、修学旅行の非日常で少しずつ露出していく。
読み進めるほど、視線が「推しは誰」から「この4人は何を抱えてる」へ変化していく。


3. 修学旅行のロードムービー感が、青春の温度を保つ

移動・観光の連続が、班の空気の変化を“場面”として刻みやすくする。
舞台が現実に浮かぶことで、関係性の手触りが具体に寄る。
最後に向かって、爽やかで温かい読後感へ収束していく流れが続く。

✅こんな人にオススメ

  • 人間関係の距離がほどける瞬間が気になる人
  • 会話のテンポでページをめくりたい人
  • 旅の空気と一緒に青春を味わいたい人

⚠️この作品が合わないかもしれない人

  • 謎解きの比重が高い構造を最初から求めたい人

\まずは冒頭を試し読み/

この中にひとり、推しがいる
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