よって、初恋は証明された。 -デルタとガンマの理学部ノート-
新作文庫部門第3位
ノミネート作品
この作品、読み始めた瞬間にわかる。 あ、これ「事件」じゃなくて「違和感」を追いかけるタイプのやつだ、と。 ド派手なトリックも、血の匂いもしない。代わりにあるのは、教室の空気、部活の温度、会話のズレ。その全部を「科学的に考えてみよう」で問いかけてくる。
青春×理系×日常ミステリ。だが油断すると、後半で静かに効いてくる。そういう構造をしている。
✏️ 作品概要(あらすじ)
ほろ苦くも瑞々しい、科学と、恋と、ミステリー。 思うに〈青春〉というのは、よくできた推理小説のようなものだ。 失われてしまった恋愛成就の桜の謎。部活勧誘の小さな違和感。巨木の樹齢に秘められた物語。密室で消えたハムスター。壊れかけの生物部に捧げられた、高校生たちの切実な決断。 無関係だと思われたひとつひとつの因果はどこかでつながっていて、あとから振り返って初めて俺たちはそれを〈青春〉と認識する。そこでようやく気付くのだ。見落としていた大切なことに。 「検証してみようよ……科学的に!」 これは、科学をこよなく愛する高校生たちが日常で直面する数々の謎に挑む、綱長井高校「理学部」のささやかな活動記録。 ――そして、一つの初恋が解き明かされるまでの物語である。
✨ 筆者がプッシュする魅力3選
1. 日常の謎を「理系脳」でぶん回す快感
謎のスケールは小さい。だが思考はガチ。 化学、生物、物理の用語が会話に飛び交い、「それをそう考えるのか?」という視点の切り替えが気持ちいい。 理学部の連中が、日常を実験台にしている感じが最高にオタクで良い。
2. バラバラの出来事が後半で全部つながる構造
序盤は完全に短編連作の顔をしている。 しかし油断していると、後半で「はい、ここ全部伏線でした〜」と静かに開示される。 派手なドンデンではないが、因果が一本に束ねられる瞬間の納得感が強い。
3. 恋愛を“今”ではなく“未来”から照射するやり口
プロローグとエピローグで未来が先出しされる構造。 だから恋は爆発しない。むしろ抑制される。 だがその分、「じゃあ、そこに至るまで何があったのか」を追う物語になる。これが面白い。
✅こんな人にオススメ
- 日常ミステリや学園ものが好きな人
- 理系的な思考プロセスにワクワクする人
- 派手さより、あとから残る余韻を楽しみたい人
\まずは冒頭を試し読み/
